水たまり 演奏中 Off 

高野喜久雄 詩

わだちの くぼみ
そこの ここの
くぼみにたまる
水たまり
流れるすべも めあてもなくて
ただ
だまって
たまるほかはない
どこにでもある 水たまり
やがて
消え失せてゆく
水たまり

わたしたちの深さ
それは泥の深さ
わたしたちの言葉
それは泥の言葉
泥のちぎり
泥のうなずき
泥のまどい

だが
わたしたちにも
いのちはないか
空に向かう
いのちはないか
あの水たまりの にごった水が
空を うつそうとする
ささやかな
けれどもいちずないのちはないのか

うつした空の
青さのように
澄もう と苦しむ
小さなこころ
うつした空の
高さのままに
在ろう と苦しむ
小さなこころ


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