戦いの日日 演奏中 Off 

高田敏子 詩

 やめて! やめて!
世界中の町と村で 母と子は叫びつづけた
焦げくさい空に手をさしのべて

空にやさしい月も星もなく
人びとに 言葉はなかった
木も草も黒くただれ
ぼろぼろの生命だけがはいまわっていた
 やめて! やめて!

 そうだ! そうだ!
世界中の渚と谷間で
兵たちはみんなつぶやいていた。
焼けた銃身のかげで

おれの手は 麦を育てた
おれの手は 子どもの体を洗った
おれの手は 妻の黒髪を愛した

まぼろしの手をもとめ
母と子はよりそう
つめたい闇の底

いつまでも 夜明けは来なかった