海 演奏中 Off 

高野喜久雄 詩

空をうつそうとして
波一つなく 凪ぐこともある
岩と混じれなくて
ひねもす
たけり狂うこともある

しかし
凡ての川はみな
そなたをさして常に流れた
底に沈むべきものは沈め
空にかえすべきものは
空にかえした

人でさえ 行けなくなれば
そなたを さしてゆく
そなたの中の 一人の母をさしてゆく

そして そなたは
時経てから 充ち足りた死を
そっと岸辺にうち上げる
みなさい
これを 見なさい と云いたげに