山を憶う 演奏中 Off 

清水脩 詩

三月四日。昨夜はあまりよく眠れなかった。
ヌーボー倉田はやはり具合が悪いのでゆくのをやめる。
ぼく一人でみなの後を追う事にきめる。
午前六時十分。中房出発。十一時半燕山荘に着く。
あと四時間でみなに会える。
ラジオでは天候がくずれるかも知れぬという。
でも牛首コルまでは慣れたルート。


なぜ 山を憶うのか
山は神秘だから。

なぜ 山を慕うのか
山は優しいから。

なぜ 山に挑むのか
山はきびしいから。

怒れば巨人となって
人間の智恵を打ち挫き
ほほえめば乙女となって
汚れない愛を降りそそぐ

 早くみなに会いたかった。大天井まで来る。キャンプは近い。
吹雪でトレースわからず。十六時、ビバーク地探す。
山の天候のカンをあやまったようだ。きょうはビバークか。

なぜ 山へ登るのか
山がそこにあるから